国保組合だより2010号(2011年10月20日号)

手あらい うがい ときどきマスク大作戦がスタート

今すぐできることで感染症の予防・減少へ

 東京土建国民健康保険組合では、『手あらい・うがい・ときどきマスク大作戦!』と名付けて、10月から3月までの6カ月、『積極的な手あらい・うがいとマスクの使用』が感染症の減少に有効であるのか調査をしています。この『大作戦』のとりくみの内容と、参加中のご家族の様子を紹介します。

 今回の『大作戦』は「(1)夫婦で暮らし、2人とも65歳以上である」「(2)夫婦と小学生から高校生までの子どもが1人または2人いる」世帯を対象に募集し、各々応募いただいた72家族と156家族、全228家族が参加中です。
 かぜ、インフルエンザ、扁桃腺炎(へんとうせんえん)、気管支炎などの感染症が流行するこれからの季節に、外出時のマスク着用、帰宅時の手あらい・うがい、トイレ後や食事前の手あらいをできる範囲で行なっていただくとりくみです。
 国保組合では調査期間中と終了後、モニター家族にアンケートをとり、診療報酬明細書(レセプト)で受診状況などを確認・分析していきます。
 下の図を参考に、ぜひみなさんで実践してください。

日頃の習慣にして効果を実感
 【狛江・鉄筋・小山(おやま)明さん】
 菊の花が庭に香る時季となった小山さんのお宅を伺いました。
 オペレーターとして30年勤めている明さんは「現場でも手あらい・うがいは昼食前に実践しています。毎年冬は普段からマスクをしています。」と予防法を教えてくれました。
 「(大作戦スタート)以前より、帰宅時と食事前の手あらいとうがいが日頃の習慣となっています。二人とも、何十年もカゼをひいていません。」と奥さんの末幸(すえこう)さんは効果を実感。
 『手あらいのしかた(※下図参照)』などの実践チェックをさせていただくと「『親指洗い(5)』と『手首洗い(6)』はあまり実践していないので、がんばります。」と継続への意気込みを語ってくれました。

図

家庭でも現場でも心がけが大切
 【江戸川・土木舗装・秋葉智さん】
 秋葉家の『大作戦』は、郁人くんが幼稚園に入園してからスタートしており、すでに3年になります。
 「幼稚園で予防対策が励行されていたので、自然にウチの家族の習慣になりましたね。」と奥さんの美幸さん。
 帰宅時と食事前の手あらい・うがいはもちろんのこと、誰かが体調を崩したら、すぐに全員でマスクをつけているという徹底ぶり。おかげで、かぜなどの予防に役立っているとのことです。
 「現場に入っているときでも、食事前と作業後には手あらい・うがいを心がけています。」と話してくれたのは智さん。花粉症の症状があるため、夏を除いて普段からマスクをつけることが多いので、感染症予防との相乗効果を得られている様です。
 意気込みを伺うと「すでに日常習慣になっているので……普段どおりにがんばります。」と、控え目ながらも大作戦の継続を約束してくれました。
 郁人くんにも、最後までがんばれそうですか?と聞くと「……はいっ!」とちょっと恥ずかしそうにしながらも元気な声が返ってきました。

インフルエンザの基礎知識
東京都健康安全研究センター 微生物部疫学情報室 副参事研究員
杉下 由行 医師

 インフルエンザは、例年12月から3月に流行のピークを迎えます。この時期は空気が乾燥し、ウイルスが活動しやすい環境になるためです。インフルエンザの季節の前に、インフルエンザについて知識を深め、予防に役立てましょう。なお、内容は9月21日現在の情報に基づくものです。

インフルエンザとはどのような病気?
 インフルエンザウイルスを原因とする呼吸器感染症です。
 おおむね1~4日(最長7日)を潜伏期間とし、発熱、頭痛、咳、咽頭痛、鼻水、筋肉痛などの症状が出ます。通常のかぜに比べて全身症状が強く出やすいことが特徴です。
 また、ぜん息など慢性の呼吸器疾患のある方、心疾患のある方、糖尿病、免疫不全、妊娠中の方などは重症化しやすいとされています。

流行の予想はできますか?
 インフルエンザは感染症法により五類定点把握疾患に定められていますので、都内400カ所の定点医療機関から患者数が毎週報告されています。報告患者数が一定のレベルを超えた場合、保健所や自治体から注意報・警報を発信しますので、それが一つの目安です。
 都内では9月時点で数件のインフルエンザ患者が出ていますが、現時点で今年の流行を予測することは難しいです。しかし、一昨年に流行した新型インフルエンザは今年の4月に季節性インフルエンザとなりましたので、例年どおり、12月~3月頃が流行のピークと考えられます。

インフルエンザを予防する方法は?
 インフルエンザは感染者の咳やくしゃみに含まれるウイルスを吸い込むことによる「飛まつ感染」や、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れることによる「接触感染」によって感染が起こります。
 予防方法としては、「ワクチン接種」「手あらい」「咳エチケット」があげられますが、それぞれを別々に行なうのではなく、すべてをもらさず行なうことが大事です。複数の予防策を組み合わせることで、効果が期待できます。

今年のワクチンはどのようなもの?
 今年のワクチンは、AH1pdm09(09年に流行した新型)・A香港型・B型の3種類が混ざったもので、2010年と同じタイプです。
 ワクチンはウイルスの感染を防ぐものではありません。ウイルスを免疫によって抑えて症状が出るのを防いだり、ハイリスク群とされる高齢者などの重症者や死亡者を減らすために接種するものです。
 ワクチン接種から5カ月程度は、重症化の予防に有効な免疫レベルが持続できると言われています。また、効果が出るまでに接種から2週間程度かかるとされています。
 例年どおり、10月頃から接種が始まりますので、早めに受けるようにしましょう。

手あらいのポイントは
 外出から帰ってきたときだけでなく、トイレのあとや、食事を作る前、食べる前にも手洗いすることで、インフルエンザだけでなく、さまざまな感染症の予防になります。
 流水で目に見える汚れを洗い流し、石鹸を使って、手のひらだけでなく、指先や指の間、親指の周り、手首なども洗うようにしましょう。
 流水で手を洗えないときには、目に見える汚れがなければ、手指にすり込むタイプのアルコール製剤も有効です。

咳エチケットとは?
 咳(せき)エチケットとは、主に飛まつ感染を防ぐために行います。特に、インフルエンザにかかっている人は、必ずマスクをして周囲への感染を防ぎましょう。
 通常のマナーでもありますが、病気の有無に関わらず、普段からせき・くしゃみが直接人にかからないように、ティッシュやマスクを口と鼻にあてカバーしましょう。

インフルエンザにかかった時は?
 すぐに病院を受診しましょう。受診の際は、他の方への感染拡大を防ぐために事前に病院に連絡し、受診の時間帯や方法を確認してください。
 また、自己判断で薬を中断せず、処方された薬は確実に飲み切りましょう。熱が下がってからも2日間は外出を控えるようにしてください。

インフルエンザ予防接種 2千円の補助
 組合員と家族がインフルエンザ予防接種を受けたとき、4月1日から翌年3月31日までの間に1回、一律2千円の補助が受けられます。
 補助を受けるには、申請書に必要事項を記入し、領収書の原本または接種済証のコピー、母子手帳のコピーなど、接種日・医療機関名・接種を受けた人がわかるものを添付し、所属の支部に提出してください。
 なお、申請書は土建国保ガイド巻末のほか、国保組合ホームページから印刷することもできます。

就業実態が変わったときには届け出を

健診契約機関の追加

国保温泉センター
 割引利用券を配布します

 国保組合に加入している方が利用可能な「国保温泉センター割引利用券」を希望者に配布しています。
 西多摩郡桧原村『数馬の湯』、西多摩郡奥多摩町『もえぎの湯』、あきる野市『瀬音の湯』、西多摩郡日の出町『つるつる温泉』の4温泉施設の日帰り利用時に、1枚で3人まで利用できます。有効期限は2012年3月31日までです。
 限られた枚数のため、希望される方は、お早めに所属の支部までお申し出ください。

被保険者の異動手続き
 届け出は14日以内に

 組合員は、結婚、出産、退職等で家族が増えた、あるいは、就職、結婚、死亡、世帯分離等で家族が減ったなど、自分の世帯の被保険者に異動があったとき、また、住所を変更したときなどは、必ず14日以内に所属の支部に届け出をするようお願いします。
 届け出をする時に住民票や戸籍謄本が必要な場合があります。
 届け出る前に所属の支部または国保組合の資格課(03‐5348‐2988)にお問い合わせください。
 また、住民票などの証明書類は、国保組合の受付時に発行日から3カ月以内のものが必要ですので、ご注意ください。
 70歳以上75歳未満の前期高齢者がいる場合は届け出の際に「高齢受給者証」も必要になりますので、ご注意ください。

ゆうちょ銀行通常預金口座の届け出をお願いします。
 国保組合は「一部負担払戻金」、「疾病入院給付金」などの給付金や「宿泊旅行利用者補助金」、「インフルエンザ予防接種補助金」などの補助金を組合員名義の「ゆうちょ銀行通常貯金口座」に振り込んでいます。
 「ゆうちょ銀行通常貯金口座」の届け出がないと、振り込みができませんので、『一部負担払戻金に対する同意書兼ゆうちょ銀行通常貯金口座届』を提出されていない場合や、口座や氏名の変更をした場合には、至急所属の支部に提出してください。
 『一部負担払戻金に対する同意書兼ゆうちょ銀行通常貯金口座届』に関してご不明な点は、所属の支部または国保組合の給付課(03‐5348‐2985)にお問い合わせください。


女性のための支部集団健診
三鷹支部のとりくみ

受診しやすい環境づくり
 保育室をはじめて設置

Photo
採血の順番を待つ受診者のみなさん

 9月4日(日)、三鷹公会堂別館で三鷹支部主催の女性健診が行なわれ、三鷹支部と武蔵野支部で合わせて109人が受診しました。当日の様子をご案内します。

 三鷹支部90人、武蔵野支部19人の総勢109人の受診者は、57人だった昨年の倍近い受診者数です。
 当日は、子宮頚(けい)がんの細胞診、乳部エコー、触診など婦人科の項目も受診できるとあって、若い方から年配の方まで、半数以上の方がオプション検診を申し込まれていました。
 最初の受付と採血に多少の混雑がありましたが、その後の検査はスムーズに流れ、13時過ぎにはすべての方の検査が終了しました。
 今回は、はじめての試みとして、健診会場と同じ建物に保育室を設けました。武蔵野三鷹地区の労働組合協議会を通じて、保育士の労働組合にスタッフの派遣を要請。当日は、男女2人の保育士が保育室を担当してくれました。
 三鷹支部の担当者は、「三鷹公会堂の建替え工事で来年度の会場確保が懸案となっていますが、今後も組合員と家族が健診を受診しやすい環境を整えていきたいです。」と話してくれました。

 保育室 利用者の声
 保育室は、障子越しに陽の差し込む明るい和室2部屋を利用して設置され、1室には乳児用の敷布団やタオル、おむつなどを用意。もう1室には、机が並び、絵本や折り紙、お絵かきの道具などが用意されました。
 子供たちは、保育士のお兄さんお姉さんと一緒にお絵かきをしたり、追いかけっこをしたりして、遊びながらお母さんの健診が終わるのを待ちました。
 5カ月になる息子さんを預けた岩井さんは、「子供を産んで初めての健診です。保育室があるということで、今日の受診を決めましたが、保育士さんたちも優しそうで、不安もなくお願いできて良かったです。ミルクやおむつなど事前の準備があるので、健診にかかる時間の目安を教えてもらえるともっと良かったかな。」と答えてくれました。
 娘さんを預けた峰岸さんは、「自分の身体のことも心配だけれど、3人の子どもがいるので、全員を夫に預けて出かけるのはなかなか大変。今回は保育室があるというので受診しましたが、保育士さんにいろいろ遊んでもらったみたいで、子供も退屈せずよかったと思います。今後も保育室を設置していただけたら、安心して健診を受けられるので、ぜひ継続して欲しいです。」と答えてくれました。

国保組合ホームページに健診情報掲載中!

多くの人に受診してほしい
毎年の健診で健康意識を
 【三鷹支部・千葉たか子さん・飯塚庫子さん】
 支部の集団健診や女性健診を利用して、毎年健診を受けているというお二人にお話を伺いました。
 千葉さん「例年の健診では少し脂質が多いという結果が出ているので、運動を心がけています。今は週に1度エアロビをしているのですが、同じ教室に通っている83歳の方が元気なのを見ると、自分もまだまだ健康でいたいと感じます。
 今日は受診する人が多いように感じました。8月に開催された主婦の会の健康教室で、乳がんと子宮頸がんなど婦人病について学んだので、関心が高いのかもしれません。保育室ができるなど、若い人にも受診しやすい環境が整ってきています。多くの人が健診を受診するとよいと思います。」
 飯塚さん「女性健診が始まってから、こちらを利用しています。過去に支部の集団健診も受けましたが、やはり女性だけというのは安心感があります。女性の先生に診てもらえるのも良いですね。健診の結果によっては、食事や運動などに少しでも気をつけようという意識が生まれます。忙しくても若いうちから健診を習慣にするとよいですね。」

職業病専門医による医療関係者向けアスベスト読影セミナーを開催

Photo
海老原講師の説明を聞く参加者のみなさん

職業病への理解を深める
 医師や放射線技師が参加

 9月4日(日)14時より、けんせつプラザ東京において東京土建国民健康保険組合主催のアスベスト読影セミナーを開催しました。
 国保組合では労働組合とともに様々な職業病対策にとりくんでおり、その一つとして健診の際に撮影した胸部エックス線フィルムを職業病専門医に再度読影してもらう再読影を実施していますが、医療現場でのアスベスト疾患への理解は一部の医療関係者にとどまっているのが現状です。
 このセミナーは、日ごろ東京土建の健診で胸部エックス線の撮影や読影をしている医療関係者の方々に、アスベスト疾患についての理解を深めてもらい、専門的な診断や臨床ができる医師の育成、地域の医療機関と専門医をつなぐネットワークの形成を目的としています。当日は、労働組合と東京民主医療機関連合会の協力を得て、医師8人、放射線検査技師11人など合計25人が参加しました。
 まず、労働組合労働対策部の高見氏がアスベスト関連疾患に係る労災補償制度適用について説明しました。
 次に、セミナーの講師を務め、長年医療分野でアスベスト問題にとりくんでいる海老原勇医師が、間質性肺炎や肺気腫、胸膜肥厚斑などの典型的な事例と見落としやすい事例を実際のフィルムを提示して説明しました。
 また、参加者が持参したエックス線やCT検査の事例検証も行なわれ、身を乗り出してフィルムを見る人や、説明にうなずく人など、参加者は熱心に話を聞いていました。
 参加者からは、今後の健診の読影に生かしたいなど、開催の手ごたえを感じる感想が寄せられました。

こんなときどうする?

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一番星

 泥津魚、土長、土尉、どぢゃう、どぜう、どづを、どぢを。すべて「どじょう」の意味らしい。「どじょう政権」は議論抜きに早々と原発再開、大企業減税隠しの復興増税を打ち上げた。国会審議もせずに泥に潜るつもりか。ドジョウ汚染も解決しないのに原発の再稼働や輸出話にはギョッとした。住み慣れた土地と未来を奪われた幾万の人々、今も公園で遊べない多くの子供たち、被ばくしつつ命がけで処理にあたる仲間たち。「原発城下町で」不安を抱え生きる人たち…。身勝手な財界から「どぢを」と呼ばれてもよいではないか。髭や口、皮膚感覚を総動員して国民の声を聴け。(K)