療養の給付

病気やけが(労働・通勤災害などの私傷病でないものを除く)で保険診療を取り扱う医療機関で受診するときは、保険証を提出すれば、次の「療養の給付」を受けることができます。

1.診察
2.薬剤・治療材料の支給
3.処置・手術・その他の治療
4.居宅における療養上の管理
5.医療機関等への入院および看護

※ただし、次のような場合は、療養の給付は受けられません。

  • 健康診査を目的とする診察、検査
  • 予防注射(一部例外があります)
  • 単なる美容上の目的をもって行う二重瞼術など
  • 妊娠、分娩で異常のないもの
  • そばかす、ほくろの除去、単なる疲労など
  • 経済的事由による人工妊娠中絶および卵管結さつ術などの避妊手術
  • 通院不便のための入院
  • 歯列矯正

入院時食事療養費・入院時生活療養費

入院したときの食事や生活(療養病床に入院する65歳以上の方のみ)に要する費用は、療養の給付とは別に入院時食事療養費または入院時生活療養費として支給されます。また、被保険者は食事療養または生活療養に要した費用のうち一定額(標準負担額)を負担します。

食事療養標準負担額

 

対象者の分類 標準負担額
A B、C、Dのいずれにも該当しない者 1食につき460円
B
  • C、Dのいずれにも該当しない指定難病患者又は小児慢性特定疾病児童等
  • (当分の間)精神病床に入院していた一般所得区分の患者が、退院するまでの間(再入院等含む)
1食につき260円
C 低所得者Ⅱ ※1 入院90日まで ※2 1食につき210円
入院90日超え ※2 1食につき160円
D 低所得者Ⅰ ※1 1食につき100円
※1 低所得者Ⅱは住民税非課税世帯、低所得者Ⅰは住民税非課税世帯で所得がない(年金収入80万円以下など)世帯です。
※2 過去1年間の入院の合計日数

生活療養費標準負担額(療養病床の65歳以上の方のみ)

1.指定難病患者または厚生労働大臣が定める者以外の者


2.指定難病患者または厚生労働大臣が定める者

※1 低所得者Ⅱは住民税非課税世帯、低所得者Ⅰは住民税非課税世帯で所得がない(年金収入80万円以下など)世帯です。
※2 過去1年間の入院の合計日数。
※3 入院時生活療養費(Ⅰ)と(Ⅱ)は医療機関によって異なります。

食事療養費・生活療養費標準負担額減額差額支給

『限度額適用・標準負担額減額認定証』を病院の窓口で提示できなかった場合や減額の制度を知らなかったために『限度額適用・標準負担額減額認定証』の交付が受けられなかった場合など、やむを得ない理由があるときは、申請により、すでに支払った標準負担額と減額により支払うべき額との差額が支給されます。

支給申請に必要な書類

  • 食事療養費・生活療養費標準負担額減額差額支給申請書
  • すでに支払った標準負担額と入院日数を証明する書類(領収書など)

保険外併用療養費

保険診療と保険のきかない診療を併用することは、原則として認められていません。しかし、保険外併用療養費は、例外的に保険診療と保険外診療との併用について制度化されたもので、将来的に保険給付の対象とするための評価を行う「評価療養」と、保険導入を前提としない特別な病室の提供などの「選定療養」に分類されています。
下記の診療については全額自己負担となりますが、保険との併用が認められています。

【評価療養】

  • 先進医療
  • 医薬品の治験に係る療養
  • 医療機器の治験に係る療養
  • 薬価基準収載前の承認医薬品の投与
  • 保険適用前の承認医療機器の使用
  • 薬価基準に収載されている医薬品の適応外使用

【選定療養】

  • 特別の療養環境の提供
  • 予約診療
  • 時間外診療
  • 200床以上の病院の未紹介患者の初診
  • 200床以上の病院の再診
  • 制限回数を超える医療行為
  • 180日を超える入院
  • 前歯部の材料差額
  • 金属床総義歯
  • 小児う蝕治療後の継続管理

【患者申出療養制度】

2016年4月から、国内未承認の医薬品等を使用したいという患者の思いに応えるため、患者からの申し出を起点とする患者申出療養制度が保険外併用療養費の新たなしくみとして創設されました。詳しくは、かかりつけ医等の身近な医療機関へご相談ください。

【紹介状なしで大病院を受診する場合の定額負担の導入】

2016年度から紹介状なしで特定機能病院(※)等を受診する場合には、原則として、定額負担を患者に求めることになりました(選定療養の義務化)。
2022年10月からは、対象医療機関に一般病床数200床以上の紹介受診重点医療機関が加えられ、定額負担の金額が引き上げられました。
※特定機能病院は、厚生労働大臣の承認を受けた病床数400以上、10以上の診療科などが条件とされた医療機関です。


訪問看護療養費

難病患者などで症状が比較的安定していて、居宅で行う療養上の世話および診療の補助を必要とする被保険者が、かかりつけ医の指示に基づいて指定訪問看護事業者(※)が行う指定訪問看護を受けた場合に、国保組合が訪問看護療養費を事業者に支払います。被保険者は一部負担金を事業者に支払います。

※「指定訪問看護事業者」とは、訪問看護事業を行う者で、申請により厚生労働大臣の指定を受けた者をいいます。

70歳以上の方が受診するとき

70歳以上の方が医療機関で受診するときは、国保組合から交付する「保険証」と「高齢受給者証」のふたつを医療機関の窓口に提示して診療を受けます。「高齢受給者証」は70歳の誕生日の翌月1日(1日生まれの方は当月1日)から交付されます。
一部負担金は、医療費の2割または現役並み所得者は3割となっています。

2021年10月から始まったオンライン資格確認等システムを導入した医療機関で、医療機関の担当者が情報を閲覧することに、被保険者が同意した場合は、高齢受給者証の提示は不要です。